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L'Appréciation sentimentale 2

映画、文学、漫画、芸術、演劇、まちづくり、銭湯、北海道日本ハムファイターズなどに関する感想や考察、イベントなどのレポート

2016ACFアートサロン 藤田貴大トークショー 演劇そして表現へ、想うこと

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先週金曜日になったが、今や飛ぶ鳥も落とす勢いの劇作家、マームとジプシー主宰の藤田貴大氏のトークショーに行ってきた。聞き手は演劇ジャーナリストの徳永京子さん。

都合により最初の15分くらいは遅れてしまったが、本題に入ったのは、開始から30分異常すぎてからだったので、ある意味ちょうどよかったかもしれない。

藤田氏は大学卒業後はヴィレッジヴァンガードで働き筒演劇に携わっており、店長になってやるという意気込みで働いていたところ、今回の聞き手である徳永京子さんが訪ねてこられて取材を受け、劇評が載ったことがきっかけで人生が変わっていったのことだ。

興味深いのは、藤田氏が北海道の伊達市で育ったことが演劇人生を形作ってきたことだ。

伊達市ですごした時代には、よく苫小牧のヴィレッジヴァンガードに本を買いに行っていたそう。途中の国道は高波が来ると封鎖されるので、車で連れて行ってくれる先輩とタイミングを見計らってヴィレッジヴァンガードに通っていたとのこと。高校卒業を機に上京したことで、北海道では演劇をやらない、という決意があったため、北海道でワークショップなどで関わることには何かしら「後ろめたさ」があるという。他の地方都市ではそういう気持ちにはならないのに、北海道だけ避けてしまうような、何か特別な気持ちを抱いたようだ。

藤田氏は岸田國士戯曲賞を26才の若さで受賞、その後の人生の方が長いということもあって、年間10~11本公演を打つのではなく、新プロジェクト「ひび」を立ち上げるなど、意欲的に公演活動を続けている。マームとジプシーはまだ北海道公演は、費用面の制約など様々な理由でまだ実現していないが、その理由は藤田氏が北海道出身であることも少なからず関係しているようだ。

最後には札幌国際芸術祭2017のディレクター、大友良英氏も乱入して、終了予定時間が15分ほど超過した。

藤田氏のプロフィールは北海道出身とだけ書かれることが多いが、本人の口から北海道に対する思いを生で聞けたことは、大収穫だった。故郷というトポスがいかに精神の根幹をなすものか、「場」のもつ力の強さをまざまざと感じた。それだけに、今回のようなトークショーを札幌で行うことも、気持ちの整理を付けるのが相当大変だったようだ。だが、いつの日か、マームとジプシーの北海道公演を観てみたいと思う。