L'Appréciation sentimentale 2

映画、文学、漫画、芸術、演劇、まちづくり、銭湯、北海道日本ハムファイターズなどに関する感想や考察、イベントなど好き勝手に書いてます

宇宙と芸術展@森美術館

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先日、東京に立ち寄った際、六本木ヒルズ森美術館で開催されている「宇宙と芸術展 かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ展」を見てきた。展覧会のタイトルを見ただけで、即座に「絶対行かねば」という美術展を鑑賞するのは、人生のもっとも幸福なひとときである。森美術館で宇宙にまつわる展示で、しかもチームラボが出展するのであれば、行かないわけにはいかないであろう。

古来、人類は宇宙の全体の姿をユニークに予想していた。曼荼羅のカタチもあれば、それだけに、宇宙は人類にとって想像力の翼をはためかせることのできる最後のフロンティアといってもよい。中世の曼荼羅アートから、現代のインスタレーションに至るまで、星の軌道や宇宙がどれほど人間の感性を刺激してきたのかがわかる。うつろ舟と呼ばれる1803年に常陸国に降り立った謎の円盤とそれに乗っていた美女の正体はなんなのであろうか?こればかりはどんなに最先端の科学でも解明不可能だが、おそらく異星人が地球に降り立ったのは一度や二度ではないのだろう。

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ビョーン・ダーレム
ブラックホール(M-領域)》
2016/木、スチール、蛍光灯、電球、塗料/サイズ可変


宇宙ほど蠱惑的な謎をかき立て、芸術心をインスパイアするものはあるまい。その好奇心が、月に人類を降り立たせ、宙空間に望遠鏡を浮かばせ、宇宙ステーションに人間を滞在させるほどにまで科学力を進歩させたわけだが、今なお宇宙の全容はわからないことだらけである。レオナルド・ダ・ヴィンチケプラーの手稿、ニュートンの『プリンキピア』といった実在の書物などは、いかに古来より人間が宇宙に関心を寄せて研究に苦心惨憺して謎を解き明かそうとしてきたのか、人類の好奇心の飽くなき探究心の結晶であろう。

最後のセクションに位置しているチームラボの『追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして衝突して咲いていく - Light in Space』がまたすごい。専用の部屋に案内され、入口そばの床に当たっているスポットライト付近で待機するように指示されると、映像と幻想的な音楽が流れ出す。宇宙空間に飛翔する二匹のカラスの超高速の軌跡が光の帯となって空間を縦横無尽に埋め尽くす。退官するアートの白眉だ。

映像作品も多いので、全て鑑賞するなら、時間を多めに見積もってから来館した方がよい。必見である。